船名の「丸」の由来については、様々な学説がありますが、根拠のある
学説は無く、はっきりとしていないのが現状です。
現存する「丸」の付く船の最古の資料については、平安時代末期の紀伊
の国の住人、源末利の所有する「板東丸」(ばんどうまる)があります。
これは1187年の京都仁和寺につたわる文書に記されています。
ちなみに古代の遣唐使船には「播磨」「佐伯」等地名が用いられ
「丸」は使われていません。
「丸」の由来については古く江戸時代、新井白石も関心を持って調査し
たようですが、諸説様々で未だに解明されていません。そこで中でも比較
的支持者の多い学説を紹介します。
○愛称説
刀等「***丸」男子の幼名に「牛若丸」等がつけられたように船に
も愛称として「丸」をつけたという説
○人格説
船を人に見立てて、人格を与えて名前を付けたという説
○外来語説
朝鮮では役所のことを「まろ」と言い日本では「まる」に訛って建造
物一般を指すようになり、船にも付けたという説
○城郭説
総大将が乗る船を「本丸」その周りの船から「一の丸」「二の丸」とし
た説。もっともお城の「一の丸」「二の丸」は船の「丸」よりも後なので、
やや説得力に欠ける。
○問丸説
古代、問屋のことを問丸と言いその所有船に屋号を付けたと言う説。
と、様々な説がありますが、どれも確実な裏付けに乏しいのが現状です。
あと、船舶法取り扱い手続きには
「船舶ノ名称ニハ成ルベク其ノ末尾ニ丸ノ字ヲ附セシムベシ」とあり、
なるべく「丸」の名前を付けるようにお願いしています。
外国の船舶については人名や形容詞などを付ける場合が多く、日本の
ように特定の文字を付けるという慣習を持つ国は他にはありません。