貨物船のエンジンで最も多く使われているのは、大型トラックのエンジンと同じ原理で動く
ディーゼルエンジンです。百馬力以下のものから数万馬力のものまで、貨物の積載量や
スピードによって使い分けられています。
最も高馬力のエンジンを搭載しているのはコンテナ船で、日本船の最大級では50000馬力
(45100DWT、24.8ノット)、エンジン本体の重量は1500トンをこえます。原油を運ぶ大型タンカーでは、
27200馬力(240000DWT、15.3ノット)程度です。タンカーの方が5倍以上の量を運びますが、
船の推進馬力は理論的にはスピードの3乗に比例するので(同じ船でスピードを2倍にすると、
2の3乗=8倍の馬力が必要となる)、コンテナ船のほうが大きな馬力が必要なのです。
なお、ディーゼルエンジンの燃料は、トラックでは軽油ですが、貨物船ではほとんど重油が使われて
います。
重油は、原油からガソリンや灯油、軽油などを取り出した後に残ったどろどろした黒色の油で、
軽油などに比べて安いのでほとんどの貨物船で使われています。